演劇史に残る
敢えて言うまでもなく、野田秀樹は日本の演劇の潮流をまったく変えた。その変化の現場を捉えたボックスセットだ。軽やかに酷使される身体、ラストにむかって急速に収斂する伏線、サブカルチャーの導入、笑いと現代への問題意識。それらを全て一つの作品に押し込めた上でのスマートな処理が見所。部分的には古さを感じてしまうところもあるが、それは「生」を基本とした演劇ならではのことで、変に映像化を念頭に置いていないことのあらわれでもある。有名な役者の若い頃を見られるのも面白い。
ただ、お金のない演劇愛好家のためにも、できればボックスではなく、ビデオ時代のように単品でも売ってほしい。そして、NODA-MAPの上演の方も(『パンドラの鐘』くらいまではほぼ全てテレビ放送されたのだから映像はあるはず)是非DVD化を希望する。
「半神」について書きます。
元来演劇というものはその臨場感に負う所が大きく、映像にしにくい芸術と言われてきました。また実際に多くの劇団の多くの作品が映像化されてその過程で感動がそぎ落とされた結果、駄作の烙印を押されてきました。そんな中で、夢の遊眠社の「半神」は、感動を損なうことなく映像化に成功した稀有な作品です。 心臓だけを共有した結合体児のシュラとマリアは、自分の不幸に気づかないように世界と隔離された生活を送っている。そんな中で彼女たちの元に一人の数学者が家庭教師として招聘され、双子に隔離された環境のままで世間を垣間見せるという依頼を受ける。そこで双子は、誰もが味わうがけっして自身は味わうことの出来ない孤独というものの存在を知り、それを夢想する。 そして彼女たちが成長し、たった一つしかない心臓が二人を支えきれなくなったとき、彼女たちの両親は結合体児の離断手術を決心するが、そこには2つの難問が隠されていた。どちらの子供を生かすのか、そしてその判断は誰がするのか。 これらの問題に誰もが向かい合おうとしない中で、なんとかして双子を両方とも生かすことが出来るのではないか、そう考えた家庭教師は双子とともに世界の果てへと出向き、双子を二人とも助けるべく彼女たちが背負った運命と対峙する。 涙なくしては観ることのできない感動の名作。☆5つ。 ちなみに、昔筑紫哲也氏は野田秀樹氏を評するときに、桑田圭祐を引き合いに出していたが、本当に失礼な話だと思う。もちろん野田氏にですよ。
涙が止まらなかった日
贋作は私が初めて観に行った野田作品です。毬谷友子さん演じる夜長姫の無邪気さと、同居する紙一重の残酷さ。野田さん演じる耳男の純粋さと辛さ。胸を打つものがあり、終演後も涙が止まりませんでした。あれから十年以上たつのでしょうか?その後も色々な方の舞台を観てきておりますが、常に心の中に強く残っている作品です。ゼンダ城は考えさせられる事の多い作品です。終演後に友達と喫茶店で何時間も意見を交わした記憶があります。他の作品はビデオで購入して拝見しておりますが、総合してこの価格でこれだけの作品を観ることが出来るのはものすごくお徳だと思います。(私は劣化のないDVDで買い直しです・笑)
アニプレックス
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